Monday, October 09, 2006

宗教を考える~キリスト教②

イエスは大工ヨセフを父とし、マリアを母として生まれた。ただイエスは聖霊※1によって生まれたという処女降誕伝承によって、ヨセフは実父でなく養父であるという説もある。いずれにせよイエスの父はヨセフであるが、信仰の対象として考える時、イエスの真実の父は天にいます神であるというのが正統的な考え方になっている。つまり、神とイエスとの関係は父と子の関係である。これを逆に神の側から申せば、神は人類救済のためにその独り子を世に遣わしたということができる。イエス自身もそのことを自覚し、自分は神の子であると言い、神を「父」と呼んでいた。しかしユダヤ教の人々にとってはイエスが神の子と称することは神への冒瀆※2(ぼうとく)になると考えられ、死刑になる理由にもなった。それでもイエスの弟子たちはイエスが神の子であることを宣教してやまなかった。
しかし、その後の協会の歴史において、神とイエスの関係についていろいろな意見が出たが、ニカイア総会議で、「イエス・キリストは真の神でお父と同質」、またカルケドン会議で「イエス・キリストは真の神にして真の人」と宣言され、これが今日にいたるまで正統な信仰とされている。
このことは単に神とイエスの関係が、父と子の関係だけでなく、イエスは神と我々人間との間を仲介する執(と)り成し者であるという信仰に基づいており、そこからイエス・キリストは人間の救済者、生命、真理、保証人とかいういろいろな教理が生まれて来ている。

(引用文献:仏教 キリスト教 イスラーム 神道 どこが違うか)

※1聖霊:父である神、その子のキリストとともに三位一体の第三位を占めるもので、神の霊がキリストを通じて洗礼を受けた人に宿り、神意によって精神活動を起こさせるもの
※2冒瀆:神聖なものや清らかなものを冒(おか)し汚すこと

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