Monday, October 16, 2006

宗教を考える~イスラム教(イスラーム)②

イスラームでムハンマドは「神の使徒」、「預言者」、「警告者」などと呼ばれる。「預言者」とは、神の言葉を預かった者である。それを他の人々に伝える義務を負った者を「神の使徒」という。コーラン(イスラームの根本聖典)によれば、神はそれぞれの共同体に預言者を遣わし、正しい信仰と行為の規範を伝えさせた。アダム、ノア、アブラハム、モーセ、イエスなどが重要な預言者とされている。ムハンマドは最後の、最も優れた預言者とされ、彼以外の預言者は認められない。ムハンマドが最後の預言者であるから、ムハンマド以降の人間はムハンマドによって下された啓示を集成したコーランによって、最も正しく神の意志を知ることができる。ムハンマドの言行や、その言行に関する伝承からも神の意志をうかがうことができるとされている。このように、ムハンマドはその言行の細部に至るまで重要な人物とされてはいるが、神性(しんせい)※1を持つ者ではなく、信仰の対象にもならない。あくまでも神から遣わされた神の言葉を預かる者であり、人間を超越した存在ではない。イスラームはユダヤ教、キリスト教と同じ一神教であるけれども、この点が大きく異なっている。コーランには、キリスト教徒がイエスを「神の子」、ユダヤ教徒が律法※2者や牧師を「ラビ」(主)と呼ぶのを非難し、ムハンマドも「おまえたちと同じただの人間である」と述べられている。
また、イスラームでは神の教え以外のものに従うことを厳しく禁じている。ムスリム(イスラーム教徒)にとっては、アッラー(唯一の神)が崇拝の対象であるのに対して、ムハンマドは敬愛の対象である。

(引用文献:仏教 キリスト教 イスラーム 神道 どこが違うか)

※1神性:神の性質・属性
※2律法:戒律

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