Thursday, October 19, 2006

ひとりごと⑱

日経に、「教育に市場原理を」とあった。私立ならまだしも、ここで議論されるべきは義務教育の中でも公立の小・中学校での教育であるはずだ。私立は高い授業料を払うことのできる家庭の子が通える学校であって、国全体を考えるのであれば、当然に公立学校における教育議論がなされなければならない。私立の中高一貫校で、特に進学校でもあれば、そこに実際に通う児童・生徒さんの質や、そこに通わせる親御さんの質、教育に対する考え方や姿勢は明らかに違うはずである。料理でもそうだが、良い食材を使い、基本さえ守って調理すれば、誰でもある程度美味しいものを作ることはできる。しかしながら、ここでは安い食材であるとか、極端に言えば腐り掛けの食材を使って如何に美味しい料理を作るかといったところであると思う。大事なのは苦悩する現場だ。いじめや不登校、校内暴力などの問題に悪戦苦闘している先生方の姿も見るべきだ。

また、「教育に市場原理を持ち込むと学校間格差が広がるとの意見に対し『努力しない学校がつぶれて一時的には格差は広がるが、最終的には格差は縮む。特に公立と私立の格差は間違いなく縮む』と持論を展開した。」とある。

教育に一時的と最終的があって良いのであろうか。ここで扱うのは人であり、その人生である。食材やおつまみではない。一時的にでも格差のあおりを受ける児童・生徒さんやその親御さんはどう思うのだろうか。義務教育は、完全な平等は無理としても、できる限り平等を目指すべきであり、教育は今もなお進められていることを念頭に入れ、この教育改革について多角的見地に立ち、じっくり議論して頂きたいと切に願う。

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