Thursday, October 12, 2006

宗教を考える~キリスト教⑥

キリスト教はユダヤ教の中から成長し、その一派とみなされていたが、次第に独自の活動となり、特に紀元70年のユダヤ戦争以降は全く別の宗教として地中海世界一帯に広がっていった。その際、キリスト教は唯一神教として自分達の神以外の神や権力者を神としてあがめることを拒否したので、皇帝に反抗する反社会的集団とみなされて、厳しい迫害を受けた。しかし、その信仰はローマ帝国全域に及び、313年に公認、392年には国教とされ、以降さらに深く社会に根を下ろしていった。
中世の教会は民族大移動によるヨーロッパ社会形成期に、その精神的母胎となった。西方ではローマ教皇が、東方ではコンスタンティノポリスの世界総主教が指導的な立場にあり、1054年に分裂して、それぞれローマ・カトリック教会、東方正教会として独自の歩みを辿(たど)った。
16世紀の宗教改革は、神の言葉としての聖書の真理にかえることによって、教会を改革しようとするものであった。その結果、ルター派、改革派等の福音(ふくいん)主義教会(プロテスタント)、英国教会などが生まれた。
近代に入ると、人間の自立意識と合理主義的な考えが強化されたが、他面では宗教を理論としてよりも暖かな心情の問題として捉(とら)えようとする敬虔(けいけん)主義が興(おこ)り、信仰復興運動や大覚醒が起こった。
20世紀には、聖書の学的研究の進展や世界大戦の悲惨な経験から、世界と人間の現実を神の審判と救済の働きの下に深刻に捉えようとする終末論神学が興った。
日本では、ローマ・カトリック教会が1549年、ザビエルの来日によって宣教を開始し、大名の中にも入信する者が出るほどであったが、徳川幕府のキリシタン禁令と迫害によって歴史の表面から消滅した。そして、19世紀の半ば、近代日本の夜明けと共に、主としてアメリカから各教派の宣教師が来日し、今日のキリスト教会の基礎を築いた。

(引用文献:仏教 キリスト教 イスラーム 神道 どこが違うか)

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