Wednesday, October 18, 2006

宗教を考える~イスラム教(イスラーム)⑦

シャリーア(イスラーム法)には五行以外にも様々な生活規範がある。その中に豚肉や飲酒を禁止する食物規範も含まれる。仏教的な宗教観からは理解しにくいが、婚姻や相続など金銭の絡む問題も宗教的規範に含まれている。このことはイスラームの人間観の故に、日常の社会生活上の諸行為も、礼拝と同様に、神への帰依(きえ)※1の表現であるように求められているからである。
「世俗的」な諸規範をもつイスラームは現世順応型宗教と考えられがちであるが、究極の救済は来世にある。終末の神の裁(さば)きを畏(おそ)れる者のみが、日々の行為の重みを知る。シャリーアの諸規範は日常生活において神を思い出させるものである。従って、シャリーアは現世の社会的秩序維持に必要な規範も含むが、単なる法律ではない。違反に対する罰則規定をもつ義務と禁止の規範の他に、行う方が好ましい行為や行わない方が好ましい行為を定めている。つまり、徳目(とくもく)※2や道徳規範、さらに行儀作法に関する規範も多い。
シャリーアの問題点は、社会は時代とともに変化するもので、その変化にどう対応できるかという点である。現代では、イスラーム諸国家も西欧法を導入し、古典的な商法や刑法がそのまま実施されているところは少ない。イスラーム諸国の近代化運動にとり、シャリーアの改革(特に家族法)は無視できない課題である。様々な国で、近代化イコール西欧化とは限らないとして、イスラーム内部からの改革も試みられている。

(引用文献:仏教 キリスト教 イスラーム 神道 どこが違うか)

※1帰依:神を信じ、その教えに従うこと
※2徳目:徳を分類してつけた名

仏教、キリスト教、そしてこのイスラム教と読み進めてきたが、それぞれ深い歴史があるだけに、その奥も深く、それぞれに良いところがあると感じた。あとは、それらを個人レベルで如何に運用していくかなのだろう。考え方に相対するところはあっても、何しろ個々がちゃんと相手を尊重し合い、争いや虐めの無い、平和な社会になって欲しいと願い実践するしかない。いつの時代にも、何処かで困っている人達が居るわけで、誰かがそこに優しい手を差し伸べるべきなんですよね。それが現代社会において、多くの人の手によってなされるようであれば、それを人類の、一つの進化と呼べるのかもしれません。

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