Saturday, January 27, 2007

憲法を考える⑯

第6章 司法
第76条 『①すべて司法権(しほうけん)※1は、最高裁判所(さいこうさいばんしょ)※2及(およ)び法律(ほうりつ)※3の定(さだ)めるところにより設置(せっち)※4する下級裁判所(かきゅうさいばんしょ)※5に属(ぞく)する※6
②特別裁判所(とくべつさいばんしょ)※7は、これを設置することができない。行政機関(ぎょうせいきかん)※8は、終審(しゅうしん)※9として裁判(さいばん)※10を行(おこな)ふことができない。
③すべて裁判官(さいばんかん)※11は、その良心(りょうしん)※12に従(したが)ひ独立(どくりつ)※13してその職権(しょっけん)※14を行ひ、この憲法(けんぽう)※15及び法律(ほうりつ)にのみ拘束(こうそく)※16される。』
第79条 『①最高裁判所は、その長(ちょう)※17たる裁判官及び法律の定める員数(いんずう)※18のその他(た)の裁判官でこれを構成(こうせい)※19し、その長たる裁判官以外(いがい)※20の裁判官は、内閣(ないかく)※21でこれを任命(にんめい)※22する。
②最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後(ご)初(はじ)めて行はれる衆議院議員総選挙(しゅうぎいんそうせんきょ)の際(さい)国民の審査(しんさ)※23に付(ふ)し※24、その後10年を経過(けいか)※25した後(のち)初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更(さら)に※26審査に付し、その後も同様(どうよう)※27とする。
③前項(ぜんこう)※28の場合(ばあい)※29において、投票者(とうひょうしゃ)の多数(たすう)が裁判官の罷免(ひめん)※30を可(か)※31とするときは、その裁判官は、罷免される。
④審査に関(かん)※32する事項(じこう)※33は、法律でこれを定める。
⑤最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢(ねんれい)に達(たっ)した時(とき)に退官(たいかん)※34する。
⑥最高裁判所の裁判官は、すべて定期(ていき)※35に相当額(そうとうがく)※36の報酬(ほうしゅう)※37を受(う)ける。この報酬は、在任中(ざいにんちゅう)※38、これを減額(げんがく)※39することができない。』
第81条 『最高裁判所は、一切(いっさい)※40の法律、命令(めいれい)※41、規則(きそく)※42又は処分(しょぶん)※43が憲法に適合(てきごう)※44するかしないかを決定(けってい)する権限(けんげん)※45を有(ゆう)する※46終審裁判所(しゅうしんさいばんしょ)※47である。』

※1司法権:国が民事(みんじ)・刑事(けいじ)および行政(ぎょうせい)の裁判(さいばん)をする権能(けんのう)。 ※2最高裁判所:司法権(しほうけん)の最高機関(さいこうきかん)。最高裁判所長官(ちょうかん)と14人の最高裁判所判事(はんじ)で構成(こうせい)。最高裁(さいこうさい)。 ※3法律:国会で制定(せいてい)された決まりごと。 ※4設置:設備(せつび)・機関(きかん)を設(もう)けること。 ※5下級裁判所:日本国の裁判所の中で最高裁判所を除(のぞ)く裁判所のこと。高等(こうとう)・地方(ちほう)・簡易(かんい)・家庭(かてい)裁判所。 ※6属する:範囲(はんい)にある。 ※7特別裁判所:軍法会議(ぐんぽうかいぎ)など、司法権の管轄(かんかつ)から外(はず)れた裁判所のこと。 ※8行政機関:法律(ほうりつ)・政令(せいれい)のもとで政務(せいむ)を行(おこな)うための団体(だんたい)や組織(そしき)。 ※9終審:最高裁判所の審理(しんり)。 ※10裁判:正(せい)・不正(ふせい)を裁(さば)くこと。紛争(ふんそう)や訴訟(そしょう)に対(たい)して裁判所が法律(ほうりつ)に基(もと)づいて判断(はんだん)し法律の適用(てきよう)を決めること。 ※11裁判官:裁判所の構成員(こうせいいん)で、裁判をする権限(けんげん)をもつ国家公務員(こっかこうむいん)。 ※12良心:善悪(ぜんあく)を判断(はんだん)して正(ただ)しいことを守(まも)ろうとする心(こころ)のはたらき。道徳的自覚(どうとくてき・じかく) ※13独立:他(ほか)から援助(えんじょ)・束縛(そくばく)・干渉(かんしょう)・支配(しはい)を受(う)けないこと。 ※14職権:職務上(しょくむじょう)与(あた)えられている権限(けんげん)。 ※15憲法:おきて。国の基本法(きほんほう)。 ※16拘束:一定(いってい)の行為(こうい)を制限(せいげん)、または強制(きょうせい)すること。 ※17長:おさ。最高責任者(さいこうせきにんしゃ)。 ※18員数:ある組織体(そしきたい)の成立(せいりつ)に必要(ひつよう)な人・物の数(かず)。 ※19構成:一つのまとまったものに組(く)み立(た)てること。 ※20以外:範囲外(はんいがい)のもの。 ※21内閣:国家行政(こっかぎょうせい)の面(めん)での最高機関(さいこうきかん)で、内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)と他(た)の国務大臣(こくむだいじん)とからなる合議制(ごうぎせい)の機関(きかん)。政府(せいふ)。 ※22任命:官職(かんしょく)や役目(やくめ)につくことを命(めい)じること。 ※23審査:その人や物について詳(くわ)しく調(しら)べ優劣(ゆうれつ)・採否(さいひ)などを定(さだ)めること。 ※24付す:従(したが)う。 ※25経過:時間(じかん)が過(す)ぎてゆくこと。 ※26更に:加(くわ)えて。かさねて。 ※27同様:ようす・状態(じょうたい)が同(おな)じであるさま。「・・・と同じように」のように用(もち)いる。 ※28前項:まえの項目(こうもく)。 ※29場合:あるできごとに出あったとき。状況(じょうきょう)。ケース。 ※30罷免:職務(しょくむ)をやめさせること。 ※31可:よしとする。 ※32関する:ある物事(ものごと)にかかわる。関係(かんけい)する。 ※33事項:一つ一つのことがら。 ※34退官:官職(かんしょく)をやめること。 ※35定期:一定(いってい)の期間(きかん)。 ※36相当額:ふさわしい額(がく)。 ※37報酬:労働(ろうどう)に対(たい)する謝礼(しゃれい)としての金銭(きんせん)・物品(ぶっぴん)。 ※38在任中:任務(にんむ)についている間(あいだ)。 ※39減額:金額(きんがく)を減(へ)らすこと。 ※40一切:すべて。全部(ぜんぶ)。 ※41命令:国の行政機関(ぎょうせいきかん)が制定(せいてい)する法(ほう)の形式(けいしき)の総称(そうしょう)。政令(せいれい)。省令(しょうれい)など。 ※42規則:行為(こうい)や手続(てつづ)きなどのよりどころとなるきまり。 ※43処分:法規(ほうき)を適用(てきよう)して処置(しょち)すること。 ※44適合:うまく当てはまること。 ※45権限:法令(ほうれい)などに従(したが)って職権(しょっけん)を行使(こうし)することができる範囲(はんい)。 ※46有する:持(も)っている。 ※47終審裁判所:審級制度〔しんきゅうせいど:同一(どういつ)の事件(じけん)などについて、異(こと)なる階級(かいきゅう)の裁判所にくり返(かえ)し重(かさ)ねて審判(しんぱん)させる制度(せいど)〕において最終(さいしゅう)の審級を担当(たんとう)する裁判所。

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