Friday, January 12, 2007

憲法を考える⑤

第3章 国民の権利及び義務
第18条 『何人(なんぴと)も、いかなる奴隷的拘束(どれいてきこうそく)※1も受けない。又、犯罪に因(よ)る※2処罰(しょばつ)※3の場合を除(のぞ)いては、その意(い)※4に反(はん)する※5苦役(くえき)※6に服(ふく)させ※7られない。』
第19条 『思想(しそう)※8及び良心(りょうしん)※9の自由は、これを侵(おか)し※10てはならない。』
第20条 『①信教(しんきょう)※11の自由は、何人に対してもこれを保障(ほしょう)する※12。いかなる宗教団体(しゅうきょうだんたい)※13も、国から特権(とっけん)※14を受け、又は政治上(せいじじょう)※15の権力(けんりょく)※16を行使(こうし)※17してはならない。
②何人も、宗教上(しゅうきょうじょう)の行為(こうい)※18、祝典(しゅくてん)※19、儀式(ぎしき)※20又は行事(ぎょうじ)※21に参加(さんか)することを強制(きょうせい)※22されない。
③国及びその機関(きかん)※23は、宗教教育(しゅうきょうきょういく)その他いかなる宗教活動(しゅうきょうかつどう)もしてはならない。』
第21条 『①集会(しゅうかい)※24、結社(けっしゃ)※25及び言論(げんろん)※26、出版(しゅっぱん)※27その他の一切(いっさい)※28の表現(ひょうげん)※29の自由は、これを保障する。
②検閲(けんえつ)※30は、これをしてはならない。通信(つうしん)※31の秘密(ひみつ)は、これを侵してはならない。』

※1奴隷的拘束:人間としての自由や権利が認められず、他人の私有財産(しゆうざいさん)とされるか売買(ばいばい)され、一定の行為(こうい)が制限(せいげん)、若(も)しくは強制(きょうせい)されること。また、すること。 ※2因る:原因(げんいん)とする。 ※3処罰:罰(ばっ)すること。 ※4意:物事(ものごと)の内容(ないよう)。わけ。 ※5反する:反対(はんたい)である。そむく。 ※6苦役:肉体的(にくたいてき)に苦(くる)しい労働(ろうどう)。懲役(ちょうえき)。 ※7服させる:得心(とくしん)させ従(したが)わせる。 ※8思想:生活や行動を体系立(たいけいだ)てて進めていく、基本的(きほんてき)な考え方。特に、社会や政治についての一定(いってい)の見解(けんかい)をいうことが多い。考えた結果(けっか)として得た意識(いしき)の内容(ないよう)。 ※9良心:善悪(ぜんあく)を判断(はんだん)して正しいことを守ろうとする心のはたらき。 ※10侵す:侵害(しんがい)する。 ※11信教:ある宗教(しゅうきょう)を信仰(しんこう)すること。 ※12保障する:おかされないよう守(まも)ること。 ※13宗教団体:神仏(しんぶつ)など超人間的(ちょうにんげんてき)・絶対的(ぜったいてき)なものを信仰(しんこう)して、安心(あんしん)・幸福(こうふく)を得(え)ようといった目的(もくてき)をもって集まった人たちの集まり。 ※14特権:特別(とくべつ)の権利(けんり)。 ※15政治上:国家(こっか)を治(おさ)めていく点で。 ※16権力:支配者(しはいしゃ)が被支配者(ひしはいしゃ)に加(くわ)える社会的強制力(しゃかいてききょうせいりょく)。 ※17行使:武力(ぶりょく)・権力・権利(けんり)などを実際(じっさい)に使(つか)うこと。 ※18行為:おこない。すること。 ※19祝典:祝(いわ)いの儀式(ぎしき)。 ※20儀式:公事(くじ)・神事(しんじ)・仏事(ぶつじ)などの作法(さほう)。また、その行事(ぎょうじ)。 ※21行事:慣行(かんこう)として、日時(にちじ)を計画的(けいかくてき)にきめて行(おこな)う儀式(ぎしき)や催(もよお)し。 ※22強制:権力(けんりょく)や威力(いりょく)などでむりにさせること。 ※23機関:ある目的(もくてき)を達成(たっせい)するための活動(かつどう)をするために作られた団体(だんたい)や組織(そしき)。 ※24集会:多くの人が同じ目的(もくてき)をもって一定(いってい)の場所(ばしょ)に集まること。 ※25結社:多人数(たにんずう)が共同(きょうどう)の目的(もくてき)を達(たっ)するために組織(そしき)した団体(だんたい)。 ※26言論:ことばや文章(ぶんしょう)によって思想(しそう)を発表(はっぴょう)して論(ろん)じること。 ※27出版:書物(しょもつ)などを印刷(いんさつ)して、発売(はつばい)または配布(はいふ)すること。 ※28一切:すべて。 ※29表現:心に感じたり、思ったりしたことを表情(ひょうじょう)・身振(みぶ)り・ことば・文字(もじ)・色(いろ)・音(おと)などで表現(ひょうげん)すること。 ※30検閲:社会の秩序(ちつじょ)を保(たも)つために、国が貨物(かもつ)・出版物(しゅっぱんぶつ)・映画(えいが)・脚本(きゃくほん)・郵便物(ゆうびんぶつ)などを強制的(きょうせいてき)にしらべたりとりしまること。 ※31通信:郵便・電信(でんしん)・電話(でんわ)などで情報(じょうほう)を伝達(でんたつ)すること。

政教分離~日本国憲法は、明治憲法下で信教(しんきょう)の自由が侵害(しんがい)された苦(にが)い経験(けいけん)、また、宗教(しゅうきょう)と国家の結びつきにより信教の自由が迫害(はくがい)されてきた人類(じんるい)の歴史的経験(れきしてきけいけん)から、政教分離(せいきょうぶんり)の規定(きてい)を置(お)いています。これは国家と宗教の間に明確(めいかく)な分離線(ぶんりせん)をひき、宗教から国家に対しては、特権(とっけん)を受けることや政治上の権力を行使(こうし)することを禁止(きんし)し、それとは逆(ぎゃく)に、国家から宗教に対しては、宗教活動や公金(こうきん)の支出(ししゅつ)を禁止するものである。

信教の自由~国民に宗教の自由を認めようとする信教の自由は、具体的には次のことをさしています。①特定(とくてい)の宗教を信じる自由、②宗教上の儀式(ぎしき)を行(おこな)い参加(さんか)する自由、あるいは、それらを強制(きょうせい)されない自由、③宗教上の信仰(しんこう)を同じくする者が集会をし、教会(きょうかい)・教団(きょうだん)などの宗教団体を結成(けっせい)する自由、④自分の信じる宗教を布教(ふきょう)する自由、などです。もっとも、②③④の場合には、絶対的(ぜったいてき)に保障(ほしょう)されるということではありません。信教の自由を口実(こうじつ)として他の人の人権(じんけん)を否定(ひてい)することは、公共(こうきょう)の福祉(ふくし)に反(はん)し許されないからです。

表現の自由~日本国憲法は過去を反省し、集会(しゅうかい)・結社(けっしゃ)および言論(げんろん)・出版(しゅっぱん)その他一切(いっさい)を厚(あつ)く保障し(21条1項)、どのような制限(せいげん)も許されないとして公権力(こうけんりょく)からの干渉(かんしょう)や抑制(よくせい)を排除(はいじょ)しています。自分の考え方を他者(たしゃ)に伝え、他者の思想・信条を受け入れることは、社会生活を営(いとな)む人間にとっては不可欠(ふかけつ)のことといえます。また、民主政治(みんしゅせいじ)を運営(うんえい)していくうえでも重要(じゅうよう)な権利です。主権者(しゅけんしゃ)である国民が、政府(せいふ)や地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)など公権力の担当者(たんとうしゃ)を批判(ひはん)することができるため、それを監視(かんし)する働(はたら)きがあるからです。もっとも表現の自由は、内心(ないしん)の自由とは異(こと)なり、社会とかかわることを前提(ぜんてい)としているため、他の人の人権と衝突(しょうとつ)する可能性(かのうせい)があります。その場合(ばあい)、「公共の福祉」の考え方に基(もと)づき表現の自由は制約(せいやく)を受けることになりますが、制約は必要最小限(ひつようさいしょうげん)でなければなりません。また、合理的(ごうりてき)な理由のある制約でないといけません。
(引用文献:図解雑学 憲法)

【回顧(かいこ)】国民の税金を基(もと)とし、国から各政党に支給(しきゅう)されている政党交付金(せいとうこうふきん)もまた公金(こうきん)の一つである。つまり、今ある政党の中で、日本国憲法に定められている政教分離(せいきょうぶんり)に反(はん)すると思われる政党、及びそれと深い関係(かんけい)にある団体(だんたい)、または結社(けっしゃ)があると言える。(`_´)/

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