Friday, July 13, 2007

Over The Rainbow

公害の町 覚えてますか 遠い国政、迷いつつ考え
「何に1票を託せばいいのか。国政はあまりに遠く感じられる」 ── 熊本県水俣市の水俣病資料館で「語り部」を補助するアルバイトの○○○○○さん(24)は迷った末に2年前の衆院選を棄権した。参院選の公示が迫った今も迷いは解けない。 ── 梅雨空に覆われた6月下旬の水俣病資料館。語り部の△△△△△さん(79)は県内の小中学生約120人を前に絞り出すような声で語り始めた。 ── 1958年、夫はもがき苦しみながら逝(い)った。直後に生まれた長女は手足が不自由なまま2歳で生涯を閉じた。工場から排出されたメチル水銀は多くの命を奪う。「何もかも恨(うら)めしかった」と△△さんは力を込めた。ところが、20分もすると子どもたちの集中力が切れたかのように会場の空気はそわそわし始めた。「公害の恐ろしさはなかなか伝わらない」=中略=水俣病は95年に未認定患者に一時金を支払うなどの内容を盛り込んで「政治解決」した。だが、2004年に関西に暮らす未認定患者の勝訴が確定した最高裁判決を受け、新たに約5,200人が認定を申請した。 ── 与党は再度の“政治解決”を目指すが、一部の未認定患者団体は「その場限りの救済策はのめない」と反発。全面解決には紆余(うよ)曲折が予想される。 ── 水俣病の確認から50年の節目で注目が集まった昨年は、地元への観光客が大幅に減った。「負の遺産」を抱える宮本勝彬市長は「水俣市は水俣病を抜きには語れない」と訴えるが、観光団体の幹部は「経済的な環境を好転させるためには、もう水俣病から離れたいのが本音だ」と漏らす。=中略=水俣のために“政治の力”が必要だと思う。各陣営は水俣病被害者の支援を訴えるが、市民の心に響いているようには見えない。「親の世代に比べ水俣病にも政治にも関心は薄い」とも自戒する。「一票をどう生かせばいいのか」。○○さんは参院選で、この迷いに「何らかの決着を付けたい」と考えている。
(日本経済新聞)

「日本沈没まで、あと16日」

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