Sunday, June 03, 2007

ひとりごとⅨ③

松岡氏らの自殺を結ぶ「点と線」 「緑資源機構」にまつわる巨額汚職疑惑
松岡前農水相はなぜ死んだのか。いまだにその死の真相は十分に明らかにされていない。さまざまな情報がかけめぐる中で、ようやく大きな背景事情が見えてきたような気がする。

「緑資源機構」関係者の相次ぐ自殺の謎
人間の最大の本能は、自己の生命を維持することにあるから、どんな苦境に追い込まれても人間そう簡単には死なないし、死ねないものである。ところが、松岡前農水相をめぐっては、わずかの間に、それこそバタバタという感じで、合計3人の人が自殺している。まず5月18日、地元後援会の元幹部、内野幸博氏が自宅で首吊り自殺。次いで5月28日、松岡前農水相が自宅(議員宿舎)で、首吊り自殺。翌5月29日、緑資源機構の前身、森林開発公団の理事をしていた山崎進一氏が、自宅マンションで飛び降り自殺。この3件の自殺は、当然相互に関係があると考えられてしかるべきである。謎の連続自殺を結ぶ糸は、緑資源機構の談合事件である。5月24日、公正取引委員会から、すでに告発を受けていた林道をめぐる入札談合事件で、検察の特捜部が動き、発注側の機構の理事2名と、受注する土建業者側4名が逮捕された。

特捜部で焼失した「謎のダンボール」の中身
緑資源機構の官製談合事件は、実は早くから調査が進んでいたもので(公正取引委員会の調査は、昨年秋から)、5月の連休明けにも一挙に強制捜査に着手する段取りになっていた。ところが、その連休明け早々にとんでもない事件が起きた。特捜部が公正取引委員会からあずかっていた段ボール箱200箱分の資料のうち、最重要の資料が入った特A級の1箱だけが紛失してしまったのだ。紛失の理由はよくわからないが、いま表向き伝えられている話では、係員が誤って焼却処分してしまったということになっている。その箱の中に何が入っていたかというと、九州の中央山地を南北に横断する(えびの高原から、五家荘阿蘇へつづく全長194キロ)「大規模林道菊地・人吉線」の工事発注にかかわる資料だった。この大規模林道建設工事は、林道といっても、道路だけでなく水源林涵養と田畑などの農地開発を一体として行うという大事業で、熊本県だけで、総工費154億にものぼる大計画だった。この大事業の主体となっていたのが、緑資源機構なのである。

大規模汚職疑惑の幕引き図る安倍首相
ここまで背後の事情がわかってみると、前回書いた、安倍首相の捜査の進行状況にかかわる指揮権発動まがい発言の重大性がわかるだろう。そこで書いたことだが、「これまでに松岡前農水省の周辺を捜査したこともないし、これからもそうする予定がなかった」などという検察発言はウソで、検察は着々と松岡前農水相をターゲットに、捜査の環を縮めつつあったのである。安倍首相がそのような検察のオフレコ・コメントを利用して、「本人の名誉のためにいっておくが」などというマクラ言葉付きで、「これまで身辺捜査をしたこともないし、これから捜査する予定もなかったと聞いている」などと、わざわざ発言するのは、要するに松岡自殺を機縁にして、この事件の捜査に幕を引けといっているに等しいトンデモ発言なのである。

検察はとっくに着手していた松岡前農水相事件
今年1月、特捜部長に就任した八木宏幸検事は、就任記者会見で、「特捜部に期待されているのは、政官財の不正解明に尽きる」と述べた。こう述べたとき、松岡前農水相の事件は、すでにとっくに着手されていた(先に書いたように公正取引委員会の調べは昨年11月から)info。八木特捜部長は、02年の鈴木宗男代議士の「やまりん」事件当時、特捜部副部長として、すでに松岡前議員の取調べに直接あたっていたが、そのときは立件にいたらなかったという因縁を持つ。就任記者会見での発言は、すでにこの事件で期するところがあった上での発言と思われるが、ここで、松岡自殺・安倍指揮権発動まがい発言にだじろぐことなく、ぜひ初志を貫徹して、事件の全容解明にあたってほしい。ここで、安倍発言にたじろいで、事件の真相解明のホコ先がにぶるようなことがあれば、再び検察庁の看板に黄色いペンキが投げつけられるようなこと(92年に金丸信自民党元幹事長の佐川急便闇献金事件に対する検察の疑惑追及が弱腰で許せないと怒った市民が起こした事件)がもう一度起こりかねないだろう。(nikkei BP net)

全文:http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070531_tentosen/index.html

検察庁
検察庁(けんさつちょう)は、検察官の検察事務と検察行政事務を行う官署である。日本においては、個別の庁(最高検察庁、高等検察庁など)でなく総体としての「検察庁」が「法務省の特別の機関」として設置されている。

検察庁は検察官各人の独任官庁としての性質を持つが、行政機関であることから検事総長を長とした指揮命令系統に従う(検察官同一体の原則)。法務大臣は行政機関たる検察庁を擁する法務省のトップであり、下部機関である各検察官に対し指揮する権限を有しているともしうるところ、必要以上の政治的介入等を防止する観点から、検察庁法において具体的事案に対する指揮権の発動は検事総長を通じてのみ行い得る(いわゆる指揮権の行使)との制限が規定されており、直接特定の検察官に対し指揮することは認められていない。このことにより、検察官は政治からの一定の独立性を保持しており、法の正義に従った職能を行使することが期待される。いわゆる指揮権については、法務大臣と検事総長の意見が対立した場合に問題となり、かつては法務大臣の指揮に従わないこともありうる旨を述べた検事総長が国会で問題とされたこともあったが、法的には「法務大臣の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り違法なものでも服従する義務がある」とされ、その結果の是非については、指揮権を発動した法務大臣が政治的責任として負うことになる。(引用:ウィキペディア)

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