Wednesday, March 21, 2007

ひとりごとⅥ⑤

地方債務200兆円割れ、景気回復で税収増・07年度見込み
地方自治体が抱える債務残高の減少が鮮明になってきた。2007年度末の残高は、06年度末見通しに比べ約2兆円減の198兆9500億円となり、4年ぶりに200兆円を下回る見込みだ。地方の借金残高の減少は3年連続になる。景気回復による税収増を背景に地方債発行が減っているため。ただ、税収の伸びる都市部と過疎地との地域間格差は拡大している。地方の財政状況が国に先行して改善してきたことは、国税の一部を地方に配分している地方交付税制度の改革や税制の抜本改革などの議論に影響しそうだ。 (3月21日 07:00 日経ネット)

                  ■■■ But! ■■■

都道府県公務員、退職金1兆4000億円に・07年度24%増
全国の都道府県が2007年度に支払う退職金の総額が、1兆4700億円にのぼることがわかった。和歌山、高知などでは地方税収の2割以上に相当する金額が必要になる。年度ごとの現金収支の管理が基本の自治体会計には制度的な引き当て措置がなく、借金である「退職手当債」を発行して賄うところが大半。団塊世代の大量退職に伴う「2007年問題」が、新たな地方財政の圧迫要因になりそうだ。2月中旬に日本経済新聞社が47都道府県にアンケートし、暫定予算を組む福岡を除く、46都道府県の予算(一部予算案)を集計した。総額は06年度より24%の増加で、20府県が支払いのピークを09年度と回答した。 (3月17日 07:00 日経ネット)

みんな借金怖くない 退職手当債 37道府県で3倍のワケ 
「団塊の世代」に当たる自治体職員の大量退職を迎え、自前の財源だけでは退職手当の支払いを賄えず、借金である「退職手当債」に依存する自治体が相次いでいる。「こちら特報部」の調べでは、47都道府県のうち手当債の発行を見込むのは37道府県、発行予定額も前年度に比べ3倍に跳ね上がった。雪崩現象ともいえる手当債依存症の深刻度とは。大量退職を迎えて、国が発行要件を緩和したこともあり、急増が予想された退職手当債。つぶさに調べてみれば、「やっぱり…」の結果だ。
■北海道260億円 千葉200億円 
2007年度の発行予定額が100億円以上なのは11道府県ある。中でも北海道は260億円(6年度比160億円増)、千葉県は200億円(同140億円増)、兵庫県は250億円(同120億円増)と、額の急増ぶりも著しい。「今後の行動計画をつくり、実施もしてきたが、財政状況は非常に厳しい。07年度は退職手当だけで154億円増え、退職手当債を活用せざるを得ない。退職手当に備える基金も過去につくったが、残高はゼロ。とても積み立てられる状況にはなかった」千葉県の財政担当者は窮状をこう訴える。06年度も当初は60億円の発行予定だったが、2倍の120億円に増額した。自動車産業を中心に、好景気に沸くイメージが強い愛知県も07年度は180億円の発行を予定。一挙に150億円も増加したことについて、県では「確かに税収は伸びたが、義務的経費の伸びに追いつかない上に、退職手当が180億円増えた」と説明。今後4年間が退職のピークといい、「定数削減も進め、県債の発行額もトータルでは170億円減らした。何とか県民の理解を得たい」と話した。現時点で新年度の発行を明らかにしていないのは10都県ある。ただ、このうち茨城、山梨、富山、愛媛の4県は近く発行を発表する予定で、神奈川、福岡両県は税収と退職者の動向を見極めた上で年度後半に発行する見込み。最終的には東京、岐阜、鳥取、島根の4都県以外はすべて発行となりそうだ。中国地方のある県庁担当者は退職手当債なんて、響きも悪いし、県民のために使うお金でもない。ほかの起債でまかないたいとしながらも、「国が制度を変え、多くの県が発行する。ウチも財政は苦しいから、制度があるなら活用しようということだ」と横並び意識をにじませた。多くの道府県が雪崩を打つように発行に踏み切る中、決して産業に恵まれているとは言えない山陰の2県が発行を見送ったのはなぜなのか。鳥取県の若松紀樹主計員は「借り(発行し)たいのはやまやまだが、退職者の山は07年度にピークに達した後、ほぼ同じ状況が十数年も続く。今のうちからカンフル剤を打っていたら、本当に厳しくなった時に効かなくなる。厳しくとも今は何とか予算をやりくりするしかない」と話す。島根県の担当者も「財政調整基金などで備えてきた。新年度から退職手当は増えるが、基金があるうちは起債しない」と言い切った。ただ、全国の状況を見渡すと、大都市圏と地方の格差拡大も透けて見える。税収に余裕のある東京都は「今後も発行予定はない」とし、大阪府は税収が当初見込みを大幅に上回ったことから、06年度の100億円の発行計画を取り消し、神奈川県も発行額を引き下げた。しかし、その一方で、地方からは「東京の一人勝ち。こちらは税収が多少増えても交付税が減らされるから相殺か実質マイナス。本当の退職ピークは10年以上も先なのに…」(栃木県)とのぼやきも聞こえてきた。
■禁じ手 でも国が助け舟
そもそも退職手当債の性格はどのようなものか。東京大学の神野直彦教授(財政学)は「赤字地方債であり、本来発行は違法で、財政規律が守れなくなる危険性もある。退職者が急激に増える中で、特別に認められてきたものだ」と指摘。その上で、根本的な問題点として「(退職手当は)日本にしかない制度。賃金の後払いであり、本来は積み立てておいて崩すべきもの」と独自の退職金制度であることを挙げる。ただ、07年度の発行額が前年度当初に比べ、3倍増になったことについては「(団塊世代の大量退職で)民間も含め、どこも退職金の支払いは増えており、財源が苦しい」と地方自治体の立場に一定の理解も示しながらも、「将来の世代に負担させることになった経緯はきちんと説明しなければならない」と住民への説明責任の徹底を求める。ところで、退職手当債の発行が激増した背景は何か。「総務省のその場しのぎ策で起債基準を大幅に緩和したことがある」と指摘するのは、地方自治問題研究機構の行方(なめかた)久生主任研究員だ。つまり「退職金を一般財源で賄おうとすれば、破たんする自治体が続出する可能性がある。そんな事態になれば総務省は監督不行き届きを問われることになる。それを避けるためには退職手当債を増やさざるを得なくなった」というわけだ。危機を回避するための「必要悪」という分析だが、「自治体存続にかかわる例外中の例外の措置」(行方氏)だけに、無原則ともいえる基準の緩和には疑問も残る。
■一般財源で賄えば破たん続出!?
行方氏は「定年退職者分の退職金にも起債を認めるなど普遍化の方向に向かっているのはおかしい。期間も団塊の世代の退職がピークを迎える5、6年を限度とすべきで10年は長すぎる」と対象期間についても批判的な見方だ。民間企業ならば退職金という将来の負債をバランスシートに計上し、全社員が一度に辞めても退職金を支払える準備をしているところも少なくない。しかし自治体の予算は単年度主義で、その年々の歳入で歳出を賄うのが基本だから、財源が足りなくなれば、赤字地方債に頼ることになる。行方氏は自治体側の“甘え”にも警句を発する。「もともと地方債は発行基準が甘いうえに、赤字地方債を発行するのは問題だ」。神野教授も「これまでは日本の経済成長に救われていた。ヨーロッパは地方財政計画で毎年5年後までの見通しを示し、議会に意思決定を求める。日本もそういう制度を考える時期に来ているのではないか」と指摘する。世の中には「公務員に退職金など払う必要がない」という極論もある。しかし、行方氏は「愚直に仕事をしている圧倒的多数の公務員と財政破たんの責任を持つ幹部を同等に見て、公務員なら何でもかんでもバッシングするのには抵抗がある」と冷静な議論を呼びかける。それでも退職金を地方債に頼るということは、子孫に借金を先送りすることを意味する。この悪循環を断つ方策はないのか。=以下略』 (2月20日 東京新聞)

先ず、選挙において、政治家を選別することである。

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