平沼赳夫一人を男にした郵政造反議員の復党問題
全体主義国家でしか起こらない異常事態
だが、今回の復党問題で、私が何よりも不思議に思っていることは、世論の大勢が復党に反対していることだ。私にいわせれば、郵政法案に反対したというだけで、反対議員を党から追放して刺客まで放つという、あの小泉政治のやり口のほうがよほど異常だ。アメリカのような民主主義国家では、あのようなことは決して起きない。アメリカでは、一人ひとりの議員の一つひとつの法案に対する賛成・反対の投票行動は完全に自由だ。共和党の大統領だからといって、共和党議員全員の投票行動を縛るなどということは絶対にできない。民主主義国家では、どのような人に対しても、政治活動の自由は保障されている。だから、アメリカでは、政府提出の法案に対しても、すべての議員が自由にその意志を表明する。政府提出の法案が通りそうにないときに、大統領が個々の議員に直接電話を入れて、賛成票を集めるなどということがよく行われている。大統領がどんなに頑張っても賛成票を十分に集められなかったら、大統領もいさぎよく法案をあきらめる。これが民主主義国家では普通なのである。党で賛成反対を決めたら、あとは党所属議員全員が一糸乱れずその通りに行動するなどということは、全体主義国家の全体主義政党でしか起こらないことである。
(日経BP立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」 より)
Tuesday, November 28, 2006
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