Sunday, November 05, 2006

今日の日経「遺伝子組み換え作物どこに?」

一時期話題になった遺伝子組み換え農作物、現在では何処に行っているのだろうか。植物の遺伝子(DNA)を人工的に改造した遺伝子組み換え農作物はバイオテクノロジーの発達で実現。害虫や除草剤に強いなど大量生産しやすい性質を加えることが可能になり、1990年代から世界的に栽培されるようになった。日本政府は2001年、食べても安全と認めた作物に食品表示を義務付ける制度を導入。現在は大豆、とうもろこしなど6種類が対象だ。加工食品の原料としての使用も、この6種類に限定されている。
スーパーで納豆や豆腐の包装を調べてみると、ほとんどが「遺伝子組み換えでない」などの表示で、とうもろこしなどを原料とするスナック菓子も同様だ。店員に聞くと「皆さん不安がられるので、遺伝子組み換えのものは置いてません」。買物中の50代の主婦も「組み換えなら買わないわ」。次に外食大手のすかいらーくを訪ねた。執行役員の三牧国昭さんは「自社でつくる豆腐やコーンスープの原料は、取引先から遺伝子組み換え作物不使用の証明書を貰っています」と明言。加工食品用大豆粉末などの製造・販売業者でつくる日本植物蛋白食品協会では「粉末状植物性たんぱくの原料には、組み換え作物は入っていません」と専務理事の條照雄さんが強調する。

── 実際、スーパーの店員の言葉を信じたい気持ちもあるが、納豆にせよ、豆腐にせよ、既に加工されているもの。そうなると、それを購入する消費者だけでなく、それを扱うスーパーさえもが使用・不使用を見分けることができない。つまりは大豆を栽培する者ら、それを流通する者ら、それを加工する者ら、それを販売する者ら、これら全てを信用できないといけない。食品事故に対する同じ認識と価値観をもった日本人が全て扱っているのであれば未だ良いが、大豆などの殆どが海外からの輸入であるという事実に不安が募るばかりである。 ──

農業関係の調査を行う団体、国際アグリバイオ事業団のデータでは、世界の遺伝子組み換え作物の栽培面積は去年までの5年で倍増。2004年の世界栽培面積に対する組み換え作物の割合は大豆で56%、とうもろこしで14%だ。中でも米国の組み換え作物の作付割合は2006年度で大豆が89%、とうもろこし61%など高率。日本は大豆消費の9割以上を輸入に頼り、米国産は輸入の75%を占める。そして、日本植物油協会の専務理事、神村義則さんに「米国の遺伝子組み換え作物を使っていますか?」と尋ねると「区別はしていません」。米国から輸入した大豆の薬割は国内メーカーが植物性食用油の原料にする。菜種油も原料のほぼ全量が輸入で、カナダ、オーストラリアから計200万トン強を調達する。「カナダや米国の作物はほとんど遺伝子組み換えで、非組み換えは思うように大量調達できないのが実情です」。また、食肉に関するところで、ある飼料業界の人は「飼料用の大豆やとうもろこしは9割以上が遺伝子組み換え作物です」と話す。バイオ技術の広報活動を行うバイテク情報普及会の坂本智美さんは「表示義務の対象外だからです」と説明する。JAS法と食品衛生法が規定する31食品群以外は、原料に組み替え作物を使っていても表示義務はない。一般的な植物油などでは作物を搾る工程で組み替えDNA部分などが除かれるため、表示は不要というのが政府の見解だ。農水省消費・安全局表示・規格課の足立教好さんに聞くと「諸外国と比べ混入許容量が多いことは認めますが、日本の基準は妥当です。現時点で、ルール見直しは考えていません」との答えだった。

「日本の『遺伝子組み換えでない』の表示は、完全不使用は保証していません」
「遺伝子組み換え作物はすでに多く流通していると結論できます」

── 特に若い女性の方に言いたい。女性週刊誌も良いが、もっと本当の社会に目を向けて欲しい。あなたは何を読みますか? ──

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